火星かせいと木星もくせいの間あいだに位置いちする小惑星しょうわくせい「イリス」と「マッサリア」の表面ひょうめんから水分子みずぶんしが検出けんしゅつされたことが分わかった。小惑星しょうわくせいの表面ひょうめんで水分子みずぶんしが見みつかるのは初はじめて。太陽系形成時たいようけいけいせいじの残滓ざんし（ざんし）である小惑星しょうわくせいがただの乾かわいた岩いわではないことを証明しょうめいする発見はっけんとなった。

天文学者てんもんがくしゃの見方みかたでは、水みずなどが初期しょきの地球ちきゅうに運はこばれたのは小惑星しょうわくせいの衝突しょうとつが要因よういんだった可能性かのうせいがある。新あらたな研究けんきゅうによると、小惑星しょうわくせいに水みずが存在そんざいする証拠しょうこが見みつかったことで、こうした理論りろんの裏付うらづけになる可能性かのうせいがあるという。

今回こんかいのデータは既すんでに引退いんたいした空中天文台くうちゅうてんもんだい「成層圏赤外線天文台せいそうけんせきがいせんてんもんだい」の計器けいきで収集しゅうしゅうされた。この赤外線望遠鏡せきがいせんぼうえんきょうは「ＳＯＦＩＡ」の略称りゃくしょうで知しられ、成層圏せいそうけんの飛行ひこうを目的もくてきに改造かいぞうされたボーイング７４７ＳＰに搭載とうさいされている。

ＳＯＦＩＡに搭載とうさいされた「微光天体赤外線びこうてんたいせきがいせんカメラ（ＦＯＲＣＡＳＴ）」を使用しようすることで、イリスとマッサリアに水分子みずぶんしが見みつかった。この二ふたつの小惑星しょうわくせいは火星かせいと木星もくせいの軌道きどうに挟はさまれた小惑星帯しょうわくせいたい（メインベルト）にあり、どちらも太陽たいようから約やく３億おく５７００万まんキロ以上離いじょうはなれている。

研究結果けんきゅうけっかは１２日にち、専門誌せんもんしプラネタリー・サイエンス・ジャーナルに発表はっぴょうされた。

論文ろんぶんの筆頭著者ひっとうちょしゃを務つとめた米べいサウスウェスト研究所けんきゅうじょのアニシア・アレドンド氏しによると、小惑星しょうわくせいの調査ちょうさにＳＯＦＩＡを使用しようするという発想はっそうは、ＳＯＦＩＡで月面げつめんに水みずの証拠しょうこが見みつかったことをきっかけに生うまれた。

イリスとマッサリアでは以前いぜんにも、論文ろんぶんの共著者きょうちょしゃが別べつの望遠鏡ぼうえんきょうを使つかって水和反応みずわはんのうの証拠しょうこを発見はっけんしていた。ただ、水分子みずぶんしがこの水和反応すいわはんのうを引ひき起おこしたのか、それとも水酸基すいさんきなどが引ひき起おこしたのかは研究者けんきゅうしゃにも分わかっていなかったという。

アレドンド氏しは「ＳＯＦＩＡを使つかった新あらたな観測かんそくの結果けっか、彼かれらが見みたものが水みずだったことが確定かくていした」と指摘してきしている。